日本版ISA(NISA)の注意点(3)投資信託の分配金

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 日本版ISA(NISA)に関する「あまり知られていない」注意点の第3回です。

第1回と第2回はこちら
→日本版ISA(NISA)の注意点(1)金融機関選び・口座開設

→日本版ISA(NISA)の注意点(2)実は債券投信も買える?

 今回も投資信託、特に分配金に関する注意点です。

 最初に、ISA口座と分配金に関する基本を述べておくと、
 (1)ISAの恩恵が受けられる投信の分配金は「普通分配金」
 (2)分配金を再投資する際には、その年の非課税枠を使ってしまう(その年の投資金額に加算するということ)
 この2つです。

投信の分配金のうち特別分配金(元本払戻金)はもともと非課税

 (1)のISAの恩恵が受けられる投信の分配金は「普通分配金」というのはどういうことかというと、投資信託の分配金には、利益から払われる「普通分配金」と元本を取り崩して払われる「特別分配金(元本払戻金)」があり、ISAで非課税になるのは普通分配金のみということです。

 特別分配金(元本払戻金)というのは、儲かったから払われるのではなく、元本を取り崩して払われるため、もともと非課税、つまりISA口座にしなくても非課税です。取り崩しなのに「分配金」という名前は紛らわしいので、今は、「元本払戻金」、「元本払戻金(特別分配金)」などの表記に変わっており、払い戻し金だということがわかるようにはなっています。

分配金が普通分配金なのか払戻金なのかは人によって異なる

 もらった分配金が普通分配金か元本払戻金かは、投資したときの値段(取得価額)によって異なります。簡単に言えば、買った値段より今の値段が上がっていれば普通分配金(税金がかかる)、下がっていれば損したわけなので元本払戻金(税金はかからない)、ということです。そして買った値段は人それぞれなので、人によって普通分配金になるか元本払戻金になるかが違ってきます。

 もう少し言うと、元本払戻金と普通分配金両方同時に受け取ることもあります。“儲かり度合い“によって分配金の中身が普通分配金のみ、普通分配金と元本払戻金の混合、元本払戻金のみの3パターンあるからです。大体想像がつくと思いますが、かなり儲かれば全額普通分配金、そこそこ儲かれば普通+払戻しの混合、損をすると全額元本払戻し金、こんなイメージです。

 そして、課税口座(一般・特定)で普通分配金を受け取る場合、税金が差し引かれた金額を再投資または受け取ることになりますが、ISA口座であれば税金を引かれずに再投資・受け取りができます。

 さて、ISA口座で受け取った分配金を再投資(同じ投信を買う)に回すと、その分は年間の非課税枠を使ってしまうことになります(本場イギリスのISAは非課税枠を使わずに分配金の再投資ができるので、日本のISAもこのように改正して欲しいところです)。


投信の分配金の再投資が自動的に「課税口座」で行われる証券会社・銀行もある

 ここで注意をしなければいけないのが、銀行・証券会社の対応です。投信は分配金を再投資するコースか受け取るコースか選択できるようになっていますが、金融機関によってどちらか片方にしか対応していないところもあります。

 さらに、通常は両方のコースに対応していても、ISA口座では片方のみになってしまうところもあるようです。また、再投資をする場合でも、自動的にISA口座で再投資をするところもあれば、逆に自動的に課税口座で再投資をするところもある、といった具合です。そしてまだこの辺の対応も流動的ですので、今後確認が必要です。

 自動的にISA口座で再投資する金融機関を利用する場合は、自動的に非課税枠を使うことになるので、再投資金額には常に注意しておかなくてはいけません。逆に自動的に課税口座で再投資されてしまう金融機関を利用する場合は、再投資コースではなく受け取りコースを選び、受け取った分配金を(ISA口座または課税口座で)再投資に回すのがよいかもしれません。少々面倒ですが、自分で金額をコントロールできるからです。ただ、分配金の金額が少ないと新たに投信を買うのは難しいかもしれませんので、再投資を優先したければ課税口座でも仕方がないと割り切る必要があるかもしれません。→参考:NISA、投資信託の分配金再投資、各社の対応は?


ISA口座に適した投信は、分配金を出さない(運用に回している)投信

 さて、この「分配金を再投資する」というのは、複利効果を狙ってのことですが、だとすると最初からあまり分配金を出さずに再投資に回してくれる投資信託が、最もISAの恩恵が受けられる投信ということになるでしょう。そうすればISAの年間投資枠を使わずに済むからです。

 これまでは毎月分配金を出す投信に注目が集まっていましたが、ISA口座で年間の投資枠を使わずに分配金を再投資に回したい場合、(運用はうまくいっているが)分配金を出さない投信が魅力的ということになります。では、分配金をあまり出さずに運用に回してくれる投信というものはあるのでしょうか。あるとすれば、どのように探せばよいのでしょうか。この続きは次回に。

 →次回:分配金をあまり出さずに運用に回す投信の探し方

 

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